
2005.1.11
2005年1月11日
| 代表理事 | 弘中惇一郎 |
| 同 | 紙谷雅子 |
| 同 | 田中宏 |
| 同 | 庭山正一郎 |
TBS職員を被疑者とする石原慎太郎東京都知事への名誉毀損事件について,東京地方検察庁は,起訴をすべきではない。
2003年11月2日のTBSの情報番組「サンデーモーニング」において,石原都知事の都内集会での「日韓併合の歴史を100%正当化するつもりはない」との発言を,誤って「100%正当化するつもりだ」とのテロップをつけて報道したとのことで,石原都知事は,2004年2月に,TBS職員を名誉毀損罪で警視庁に告訴し,これを受けて,2004年12月14日に,警視庁はTBS職員4名を名誉毀損罪容疑で東京地検に書類送検した。
しかし、すでに当事者である都知事は様々なメディアを通じて広範な反論を行い,広くその「誤報」の事実が知られており,名誉の回復は十分になされている。他方,TBSの側も,すでに直接謝罪を行い,訂正放送も実施している。
自由人権協会は,表現の自由の観点から,このようなことで,言論機関の職員を名誉毀損罪で起訴することにつき,強く反対するものである。
過去の歴史を振り返っても,権力者が自らへの批判を封じ込めるために名誉毀損法制を制定・強化してきたことに強い批判があることが想起されるべきである。
健全に民主主義社会を維持するためには,表現の自由はきわめて重要であり,とりわけ,政治家に対する批判的言論は最大限に保障される必要がある。
特に,その表現の自由の行使が,人々の知る権利に奉仕する言論機関によって行われている場合には,結果的に表現の自由の行使に行き過ぎや誤りがあったとしても,原則としてそれを刑事罰によって処断すべきではない。そのような行為は,言論機関を過剰に萎縮させ,政治家に対する批判的発言を鈍らせ,ひいては人々の知る権利を脅かす結果となるからである。
本件で,TBS職員に刑事罰を科すことは,都知事などの政治家に対する発言を,将来にわたって,強く萎縮させる危険が高く,これは,単に今回の事件にとどまらず,あらゆる言論機関に影響することであり,表現の自由全体の問題として,きわめて憂慮すべき事態であると考えられる。
よって,表記の通り声明する。