
2003.11.20
2003年11月20日
| 代表理事 | 更田義彦 |
| 同 | 弘中惇一郎 |
| 同 | 紙谷雅子 |
| 同 | 田中宏 |
2003年7月8日に行われた国連の女性差別撤廃委員会による日本国政府提出の定期報告書審査に基づき、7月18日に同委員会よりわが国の問題点について多角的見地から最終コメント(以下「最終コメント」)が出されました。同委員会は最終コメントにおいて、女性差別撤廃条約に関するさまざまな情報を一般公衆に周知徹底するよう、日本国政府等関係各機関に対して至急実現するよう強く求めています。 当協会は、人権NGOとして、NGO報告書の提出や審査への参加のみならず、女性差別撤廃条約(CEDAW)発効20周年の折には記念事業を開催するなど、その普及に努めてまいりました。また今後も、今回の国別審査とそのコメントを受け、この条約の実質的当事国としてその内容が十分に遵守されるよう、CEDAWに関する啓蒙活動を積極的に実施する所存です。
政府等関係各機関においては、この最終コメントを真摯に受け止め、一部の部局だけでなく政府全体としてその実現のための施策を実施し、かつその実施状況をモニタリングする常設的な制度を設置するよう強く要望します。これと同時に、関係機関においては、次の各施策の迅速かつ積極的な実施を強く要望いたします。
最終コメントのパラグラフ22は、条約第1条に沿った形で、間接差別と直接差別の両者を包括した「女性に対する差別」の定義を国内法に含めるよう勧告しています。同時に委員会は、間接差別の意味と射程を含めたCEDAWの一層の理解と普及活動を勧告し、とりわけ国会議員、裁判官、そして法曹関係者一般に対する啓蒙が必要であると勧告しています。
司法だけでなく、公職にある人々全体に対するCEDAWの理解と普及を政府の責務として勧告していることは、そもそもCEDAWそのものや女性の権利という基本的な事項が、これを遵守すべき公の立場にある人々の間で十分認知及び理解されていないことの問題点が指摘されているに他なりません。審議において国会議員を始めとする公務員の女性差別発言に対する懸念が多数の委員から表明されたことがこれを象徴しています。これはまた、メディアを通じた意識向上のためのキャンペーンを推奨しているパラグラフ24にも通じる問題提起です。
よって、固定化したジェンダー役割認識を改善するため、一般的に人権教育とジェンダー上の平等のための訓練を教育体系の一環として実現するよう文部科学大臣に要請します。さらに、国会議員、裁判官だけでなく、あらゆる公職にある人々に対するCEDAWの理解と普及のための積極的な施策の実施を、裁判所、衆参両議院及び内閣府・法務省・外務省・厚生労働省において行うよう、要望いたします。
女性に対する暴力に関するパラグラフ25と26においては、ドメスティック・バイオレンス(DV)の対象を物理的な暴力に限定する現行法の見直しだけでなく、強かん罪の量刑の再考、夫婦間強かんや親子間等の近親かんが特定の犯罪として刑法に規定されていないことの問題点について言及されています。
現在、2004年には、「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV法)の見直しが行われることになっていますが、実効性のある女性に対する暴力防止が実現するよう、法務省及び衆参両議院においては、精神的暴力・性的暴力についても保護命令の対象とする法改正の実施を、また、警察庁においては、DV事案における加害者の逮捕や事件の扱いについての具体的な判断基準を設け、その周知徹底を、特に刑罰法令に抵触するような深刻な事案に関しては積極的介入を行うよう徹底すべきことを要望します。
更に、強かん罪の法定刑を他の刑法上の犯罪との均衡という観点から検討し直すこと、刑法において親子間等の近親かんを犯罪と規定することについて、その範囲・対象を含め人間の尊厳に考慮を払い慎重に検討すること、そして、条文上はあいまいな夫婦間強かんについて相手の意思に反する場合の実質的処罰化を明示することなどについて、女性に対する暴力を根絶するという観点から、法務省及び衆参両議院において十分な議論と検討を行うよう要望いたします。
パラグラフ38が、人権擁護法案の中で提案されている人権委員会に対して「人権の促進と保護のための全国的な組織の地位に関する1993年のパリ原則(1993年12月20日の国連総会議決48/134)に合致する独立性を保障するよう勧告していることは、このような人権救済機関の設立において当然期待されるところです。女性の人権について取り組むためにも、パリ原則に則した人権委員会の設置を規定する新たな法案を提出するよう法務省に対し要望いたします。
以 上