2003.5.2
妊産婦のプライバシー権、選択権その他の基本的権利を保障するため、政府は助産婦の資格を男性に開放することに慎重であるべきである。
「15. 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律(2001.12.12 公布)
保健婦助産婦看護婦法に定める保健婦・士、看護婦・士及び准看護婦・士について、その名称が女性と男性とで異なっているものを統一し、その専門性を表すにふさわしい名称に改めるもので、2002年3月1日から施行された。」 (第5次報告書 P6)
日本では、障害者や高齢者の介護でようやく「同性介護」が尊重されるようになり、男性は男性、女性は女性によるケアを受けることが、利用者のプライバシー、尊厳の保護に不可欠であると認識されつつある。助産婦は分娩の前後にわたり、長時間妊婦に密着して性器へのケア等を行い、その業務は産婦人科医の業務とは異質のものである。妊婦にとって同性によるケアが必要であることは、障害者や高齢者と変わらず重要であり、妊婦には女性しかいないのであるから、男性への導入を認める必然性がない。また、日本助産婦会が法令に違反してまで男性導入を急ぐのも不自然であり、圧倒的多数の助産婦、女性たちの声を無視している。
政府報告書は、助産婦から助産師への名称変更があったことをgender equality の観点から肯定的に捉えているようである。
しかし、日本政府は、過去に助産婦資格を男性に開放する法案を国会に提出したものの、女性たちや助産婦からの大きな反対運動が起こり、廃案になった経緯がある。助産婦の職能団体、その他機関が行ったアンケートでも、女性の70%−80%は男性助産師に反対をしている。
助産婦の職能団体である社団法人日本助産婦会も、長年にわたって男性導入反対の態度を堅持していた。ところが、同会は突如、2000年3月、「書面による臨時総会」によって会員の多数が男性導入に賛成をしたとの決議を上げ、与党に対して男性導入を働きかけ、助産師への名称変更を実現させた。
現在6名の助産婦が原告になり、社団法人を被告として、書面総会が定款に根拠がなく、代議員選出の手続きにも違法があるとして決議無効確認を求めている。裁判の和解手続の中で、被告は助産婦会会員全員にアンケートを実施したが、約70%が男性導入反対の回答を寄せた。