女性差別撤廃条約に基づく第4回・第5回日本政府報告書に対するJCLU報告書

2003.5.2


第7条[政治的・公的活動における平等]    【公の職場における差別行為】

日本政府は、公の職場、特に立法府における性差別行為に対し、その撤廃と、さらなる行為の防止に努めるべきである。また、意思決定機関における女性の参画率を高めるための環境づくりりに取り組むべきである。

政府報告書の記述

第5回報告書では、「公務職場における防止」の項目(p19)に、人事院規則10−10、「セクシュアル・ハラスメントの防止」の施行と研修状況が報告されているが、立法府での研修については何も報告されていない。また、国会議員、地方議員の女性の割合について報告があるものの、低い女性参画率の要因について何の分析もなされていない。

JCLUの立場

日本政府報告書に記載されているUNDPの指標からも明らかなように、日本の女性の政治参加の割合は、国・地方に限らず増えてきているといっても、国際的な水準から見れば大変低い。圧倒的に男性が多い政治の世界では、数の少ない女性は、活動上、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)により制約を受けることが多い。特に近年、立法府におけるセクハラ、特に環境型セクハラのケースが多く見受けられるようになってきた。個人の能力にかかわらず、女性であるという理由で、不当に政治活動を阻害されることに関して、被害者が個人で訴訟を起こし、司法救済を訴えるのみでしか救済の手段はない。1999年、地方議会で、女性議員が「男いらず」と男性議員から呼ばれたりというセクハラ発言に対し、損害賠償を求めた事件は、原告の勝訴が確定した。しかし、これは、セクハラ発言を受けた本人の名誉毀損にあたるだけでなく、女性議員全般に対する著しい人権侵害である。このようなセクハラ環境が続く限り、女性の政治への参画率は低いままであろう。

2001年9月、国連社会権規約委員会からの日本政府への勧告で、「日本社会において、議会、公務部門、行政、及び民間部門における専門的及び政策決定地位においての広汎な女性差別、及び男女間に依然存在する事実上の不平等について懸念」が表明された。立法府におけるセクハラを放置しておくことは、日本政府が勧告を誠実に受け止めていないことの現れである。

JCLUは、日本政府が、人権研修などを通じ、セクハラなど立法府における女性差別的環境を解消し、意思決定機関における女性の参画率を高めるための環境作りに取り組むべきであると考える。

背景情報

西村眞悟衆議院議員による女性差別発言

当時、防衛政務次官であった西村眞悟衆議院議員が、雑誌上で、「強姦してもなんにも罰せられんのやったら、オレらみんな強姦魔になってるやん。けど、罰の抑止力があるからそうならない」「国防とは(日本女性が)他国の男に強姦されるのを防ぐこと」と発言した。さらにある特定の政党の女性議員らを指し「お前が強姦されとってもオレは絶対に救っとらんぞ」とも発言。(「週刊プレイボーイ」1999年11月2日号より抜粋)

強姦された女性を救うかどうか、その女性の考え方により扱いに差異を設けることは、強姦された女性の落ち度を問題にしており、強姦されても仕方がないという論理につながる。強姦は女性の人権侵害であるということを無視した、全くの女性差別発言である。

この発言に対する抗議が相次ぎ、西村議員は防衛政務次官を辞職しているが、衆議院には留まり、現在は懲戒委員会の委員長を務めている。

中傷誹謗ビラ問題について

2001年2月9日の衆議院予算委員会開催中に、特定の女性議員を「管理売春のやり手ババア」と誹謗・中傷したビラを、ある男性議員が複数の国会議員に配布した。これに対しては懲罰とはならず、予算委員長から口頭で注意したにとどまった。

前へ |  次へ
目次

声明・意見書の一覧 | ホームページ | 入会のご案内