2003.1.27
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下DV防止法)」の成立後、DV事案における加害者の逮捕や事件の扱いについての具体的な判断基準を、警察官に対して示すように、警察庁から各都道府県警察へ指導がなされていますか?
配偶者からの暴力については、警察では、「女性・子どもを守る施策実施要綱」に沿って、適切な措置を講じるなどしている。DV防止法が成立したため、今後は同法の趣旨も踏まえ、引き続き被害者の立場に立った適切な対応を推進する、との記載。
(「第5回報告書 第16 条 2 .家庭内暴力(2 )配偶者からの暴力 オ」女性・子どもを守る施策実施要綱等))
1999年12月13日付けの各都道府県警察への通達「女性・子どもを守る施策実施要綱」では、妻への暴力事案に対して、「ア 刑罰法令に抵触する事案については、被害者女性の意思を踏まえ、検挙その他の適切な措置を講ずる」との対応方針が示された。DV防止法成立後の、2001年7月9日付け通達「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に当たっての配偶者からの暴力事案についての対応について」では、上記要綱等を踏まえ、事案に応じた適切な措置を引き続き講ずるとの方針が示された。
DV防止法成立を経ても、通達によって示された警察の対応方針には殆ど変化がなく、DV事案の事件化は、依然として現場の警察官の裁量に委ねられている。明らかに刑罰法令に抵触する場合に、加害者の逮捕や事件の扱いについて、被害者の意思を考慮するという方針は、警察官の不介入の言訳として利用されるおそれがある。また、被害者が加害者の暴力や脅迫を受けているために被害申立や告訴をしない場合には、犯罪が潜在化してしまうおそれもある。刑罰法令に抵触する場合には、被害者の安全を確保し、加害者に対して厳正な刑事的対応を行うということについて、具体的方針を示すことが必要である。