女性差別撤廃条約日本政府報告書第3回審議:会期前作業部会のための事前質問票案
2003.1.27
第2条(c)[締約国の義務] 【国内人権委員会】
- 日本政府が提案している人権擁護法案に基づく人権委員会は法務大臣の所管としているが、この委員会が政府からの独立性をどのように担保できるのか、説明されたい。
- 前述の人権委員会が扱う公務員の人権侵害を虐待と差別に限定している理由は何か。
政府報告書の記述
「なお、政府は、現行の人権擁護制度を抜本的に改革するため、2002 年3 月、人権擁護法案を国会に提出した。この法案では、性別による差別的取扱いやセクシュアル・ハラスメントを含む差別・虐待等の人権侵害を禁止するとともに、新たに独立行政委員会として設置する人権委員会を主たる担い手とする新しい人権救済制度を創設し、人権侵害による被害の適正かつ迅速な救済・実効的な予防等を図ることとしている」
(第5回報告書 第2条 3.差別に対する法的救済手段の有無とその効果 (2)人権侵害に対する支援サービス ア)法務省の人権擁護機関より)
質問の理由
- 法案では人権委員会は法務大臣が所管し、法務省の外局として設置される。しかし一方で法務省は拘置所や刑務所、入国管理施設などの拘禁施設を管理しており、しかもこれらの拘禁施設では被拘禁者に対する職員による虐待や過剰な処罰が度々問題になっている。このことから、人権委員会が扱う個別事件の当事者に法務省がなる可能性は高く、法務省の下に人権委員会があっては、これらの事件を公正に扱うことはできない。
- 法案では人権委員会が調停・仲裁・勧告・訴訟援助の対象として扱う公務員による人権侵害は差別と虐待に限られている。しかし想定される公務員の人権侵害はこの限りではない。また政府の政策も対象からはずれているため、これらが引き起こすであろう女性差別に対してもこの法案は救済手段を何ら提供できていない。
法案は2002年に国会に提出されたが、NGOや野党が上記の問題などを訴えたため、継続審議になった。国連パリ原則から逸脱した法案であり、抜本的に見直すことが求められる。