
2002.9.25
| 代表理事 | 更田義彦 |
| 同 | 弘中惇一郎 |
| 同 | 紙谷雅子 |
| 同 | 田中宏 |
自由人権協会は、かねてから個人の人格とプライバシーの保障の観点から行政にお ける個人情報の保護を提言してきましたが、住民基本台帳ネットワーク(以下、住基 ネットといいます)に対し、以下の通り声明いたします。
住基ネットは、本年8月から運用が始まりましたが、その運用に対しては、多くの 市民から個人のプライバシーの重大な脅威となるのではないかとの懸念が表明されて いました。また実際の施行に際しては、国の強い指導にもかかわらず、横浜市がいわ ゆる市民選択制度を実施し、杉並区をはじめ住基ネットへの接続を見合わせる決定を 行うなど、少なからぬ地方自治体が住民を保護するための緊急的な措置をとらざるを 得ないという事態が発生しています。
これは、現行の住基ネットのシステムが、個人の自己情報に対するコントロール権 という、憲法に保障された基本的人権を侵害しかねない強い危険性を持つものである ことに由来します。実際に、国は、行政上の効率化の必要性を強調しながら拙速にそ の運用を開始しましたが、個人の自己情報に対するコントロール権をどのように保障 し、個人情報漏洩の危険性にどう対処するのか、について十分な法整備がなされてお りません。また、それらの懸念に対し、国は情報の主体である住民に対する説明責任 を果たしてきませんでした。
国よりも住民に身近な立場にある地方自治体の一部が、このような危険な状況に鑑 み、住民の権利を守るために、上記の措置をとる決断をしたことは、地方自治の本旨 に照らして、十分に尊重されるべきと考えます。
自由人権協会は、国の理不尽な指導よりも住民の権利保護を優先させた地方自治体 の決断を支持し、他の地方自治体においても住民の権利保護のための可能な措置がと られることを求めます。国は、住民の権利保護のために行う住民や地方自治体の選択 を尊重すべきです。あわせて自由人権協会は、国に対し、すでに述べたように憲法の 基本的人権の侵害をはじめ、多くの問題点を持つ現行の住基ネットに対し、直ちに抜 本的見直しを行うことを求めます。