
2002.7.1
| 代表理事 | 更田義彦 |
| 同 | 弘中惇一郎 |
| 同 | 紙谷雅子 |
| 同 | 田中宏 |
自由人権協会は、あらゆる人々の自由と個人の尊重、とりわけ思想・良心の自由の擁護活動を行うことを目的とし、国民による国政の監視、政府の説明責任の全うを図るという見地から、従前から率先して情報公開制度の確立に取り組んできた団体として、今回の防衛庁による組織的な請求者リスト作成・配布問題に関し、強く抗議するとともに、以下のとおり声明する。
先般、防衛庁が、情報公開法に基づく情報公開の請求者100名以上の属性を独自に調べてリストにまとめ、幹部らの間で閲覧していたことが判明した。当初、防衛庁は組織的関与を否定していたが、その後、かかるリストの作成は組織的行為であったことをいったんは認め、その後さらに否定するなど、防衛庁の説明は変転している。
このような請求者リストの作成・配付は、情報公開の請求を行うことを萎縮させるうえ、目的を問わず何人にも情報公開請求権を認めている情報公開法の趣旨に反し、情報公開制度が国民主権の理念に則り、公正で民主的な行政の推進に資することを目的としていることについて行政機関が極めて不十分な理解しかしていないことを示したものであり、遺憾極まりない。のみならず、現行の行政機関個人情報保護法にも反するものである。
現行行政機関個人情報保護法4条1項は、行政機関が個人情報ファイルを保有するに当たって、法律の定める所掌事務の遂行に必要な場合に限り、かつ、できる限りその目的を特定することを要求している。しかるに、今回作成されていた情報公開請求者リストは、法律の定める所掌事務を遂行するために必要なものではないことが明らかであって、同法4条に違反する行為である。また、それを配付する行為は、個人情報の電子計算機処理を行う行政機関の職員等に対して、業務上知りえた個人情報の内容の漏洩・不当な目的への使用を禁止する同12条にも違反するものである。
リストの記載は開示請求者のイニシャルや団体名の記載にとどまり、氏名の記載がないことから、防衛庁の調査報告は、この点について法律上問題がないかごとき立場をとっている。しかし、イニシャルや団体名のみの記載であっても、他の情報と照合することにより個人が特定される場合もあるため、現行行政機関個人情報保護法の観点から、やはり問題がある。仮に特定ができない場合であっても、団体名のリスト作成は、団体としての活動に対し、あるいは個人が団体との関わりを持つことに対し萎縮効果を持つおそれがあるため、集会・結社の自由を保障した憲法21条1項の趣旨に照らしても看過できない行為である。
当協会は、情報公開制度の運用に当たる担当者のかかる行為が市民の基本的権利・自由に対する重大な脅威であると受け止め、政府が事実の徹底した解明を行い、また、防衛庁長官をはじめとする責任者の処分の在り方を真剣に検討するように求める。当協会は、あわせて今後の政府機関による個人情報の取り扱いにおいて、知る権利、個人の自己情報コントロール権及び集会・結社の自由が脅かされることのないよう、現行行政機関個人情報保護法に基づく個人情報の適切な管理のための必要な措置を講ずるよう強く求める。