
「情報公開法施行令の骨子案」に対する意見書
1999.12.17
総務庁行政管理局
情報公開法施行準備室 御中
1999 年 12 月 17 日
社団法人 自由人権協会
代表理事 内田剛弘
同 金城清子
同 江橋崇
同 更田義彦
同 秋山幹男
東京都港区愛宕 1-6-7
愛宕山弁護士ビル 306号
Tel: 03-3437-5466
Fax: 03-3578-6687
貴庁が、このほど公表した「行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令の骨子案」に対し、当協会は以下の通り意見を述べます。
「情報公開法施行令の骨子案」に対する意見書
第 1 手数料 (案三 2 (1)、案四、別表第一、別紙) について
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開示請求手数料について
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開示請求手数料に関して、1250 円 (A 案)、600 円 (B 案)、300 円 (C 案) と 3 つの案が示されていますが、開示実施手数料のほかに開示請求手数料を徴収することに十分な妥当性を見出すことは困難であり、無料とすべきです。自治体では、請求手数料の徴収を行っていません。
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しかしながら、情報公開法第 16 条第 1 項は開示請求手数料について規定しており、この規定を踏まえて意見を述べるならば、今回示された A、B、C のいずれかの案を選択する場合、重要になってくるのが、情報公開法第 16 条第 2 項「前項の手数料の額を定めるに当たっては、できるだけ利用しやすい額とするよう配慮しなければならない。」との規定です。そもそも、参議院の総務委員会における議論では、多くの議員によって「500 円以下」ということが再三再四述べられ、また、当時の太田誠一総務庁長官も「個人情報保護法と比較されて 300 円以下にすべきである」との意見について「大変傾聴に値する」と述べていたところです。参議院の総務委員会の場では、少なくとも 500 円を越える金額に関する議論は皆無であり、その意味で A、B 案は、情報公開法の立法経過にそぐわないものです。
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したがって、3 案の中では、C 案を選択すべきです。
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開示実施手数料 (閲覧) について
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開示実施手数料に関して、まず、一イ「閲覧」では、100 枚当たり、3200 円 (A 案)、又は 100 円 (B 案) の 2 つの案が示されていますが、A 案では 300 枚を越えた時点で約 1 万円の高額な金額設定となりますが、請求者が制度を気軽に利用できなくなり、請求を控えるようなことも確実に起こるはずです。また、それによって、制度そのものが実質的に働かなくなってしまうことも容易に予想できるところです。
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したがって、2 案の中では、B 案を選択すべきです。
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同様のことが、ニ マイクロフィルム イ「用紙に印刷したものの閲覧」、五 映画フィルム イ「専用機器により映写したものの視聴」、六 録音テープ (九の項に該当するものを除く。) 又は録音ディスク イ「専用機器により再生したものの聴取 」、七 ビデオテープ又は録画ディスク イ「専用機器により再生したものの視聴 」、八 電磁的記録 (五の項から七の項までに該当するものを除く。) イ 「用紙に出力したものの閲覧 」、ロ 「専用機器により再生したものの閲覧又は視聴」に関しても言えます。
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せっかく、開示請求の対象となる文書の範囲を広げたのですから、それをより気軽に利用できるように、上に列挙したものについても B 案の適用をすべきです。
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開示実施手数料 (複写) について
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開示実施手数料に関して、一ハ「複写」では、(A3 版以下) 1 枚当たり 50 円 (A 案)、又は 20 円 (B 案)の 2 つの案が示されています。
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全国 47 都道府県で、1 枚当たり 50 円という高額の複写費用を課している自治体はなく、1 枚当たり 30 円の複写費用を課す国立国会図書館は複写費用が高いということで利用者の間で評判が良くありません。コンビニエンスストアでコピーを 1 枚 10 円で取れる今の時代に B 案の 20 円でも割高感があるのに、50 円は論外だとしか言いようがありません。
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また、地方自治体の条例改正においては、複写手数料を値下げするところが出てきていて、1 枚当たり 10 円とするところも多くなってきています。2001 年 4 月の法施行時には、多くの自治体で 1 枚 10 円の複写手数料という規定になっていることが予想されます。
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そういったことを勘案すると、2 案の比較では B 案の方が望ましいと考えられますが、1 枚当たり 10 円が実情に見合う金額と言えます。
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また、同様のことが、二 マイクロフィルム ハ「用紙に印刷したものの交付」、六 録音テープ (九の項に該当するものを除く。) 又は録音ディスク ロ「録音カセットテープに複写したもの交付」、七 ビデオテープ又は録画ディスク ロ 「ビデオカセットテープに複写したものの交付」、八 電磁的記録 (五の項から七の項までに該当するものを除く。) ハ「用紙に出力したものの交付、九 スライド及び録音テープ (音声を記録した録音テープを同時に視聴する場合におけるものに限る。) ロ「ビデオカセットテープに複写したものの交付」に関しても言えます。
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せっかく、開示請求の対象となる文書の範囲を広げたのですから、それをより気軽に利用できるように、上に列挙したものについても、B案もしくはそれ以下の金額とすべきです。
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手数料の減免について
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手数料の減免について、骨子案は、開示実施手数料が減免される場合として「経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないと認めるとき」「開示決定に係る行政文書を一定の方法により一般に周知させることが適当であると認めるとき」と定めています。骨子案が「開示決定に係る行政文書を一定の方法により一般に周知させることが適当であると認めるとき」と定めたことによって、減免の対象範囲を広げたことは評価できます。この規定により減免が広く行われることを期待します。
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しかし、この 2 要件に限定するのでは、なお不十分と思われます。たとえば、「開示請求が公益、公共的目的に基づくことを理由に開示請求者が手数料の減免を請求する場合には、公益、公共的な目的に基づくと認められる場合」にも、開示請求手数料を含めて手数料の減免を認めるべきです。国会審議では、総務庁長官も、公益裁量開示のような場合も特別な理由に該当することを認めており (第 143 回衆議院内閣委員会会議録 5 号 17 頁)、国会での審議経からもこのようにすべきです。
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手数料の徴収単位について
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手数料の徴収単位について、骨子案は、開示請求手数料の徴収単位となる「1 件」とは、「1 つの行政文書ファイルにまとめられた複数の行政文書その他相互に密接な関連を有する複数の行政文書」とし、「行政文書ファイル」とは、「能率的な事務又は事務の処理及び行政文書の適切な保有の目的を達成するためにまとめられた、相互に関連を有する行政文書 (保存期間が 1 年以上のものであって、その保存期間を同じくすることが適当であるものに限る) の集合物」と定めています。
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しかし、作成目的、内容など相互に密接に関連を有する文書でも保存期間や保管部署が異なり、行政文書ファイルが異なる場合が予想されます。
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したがって、行政文書ファイルや行政文書の保存期間が異なっても相互に密接な関連を有する場合には 1 件となることを明確に規定すべきです。(たとえば、「相互に密接な関連を有する複数の行政文書 (1 つの行政文書ファイルにまとめられた場合の他、行政文書ファイルが異なる場合を含む)」と定める。)
第 2 開示に関する権限の委任 (案三 2 (2)) について
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開示に関する権限の委任について、情報公開法第 17 条が「行政機関の長は政令で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる」と定めているところ、骨子案では、「行政機関の長は、行政文書の開示に関する権限又は事務のうち次に掲げる部局又は機関 (地方支分部局が含まれる) が保有する行政文書に係るものをその部局又は機関の長に委任することができる」と規定しています。
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法第 17 条に関して、『情報公開法要綱案の考え方』(以下、「考え方」という) 5 (2) では、「権限が委任されることにより、当該地方に在住する者にとっても、開示請求に関する緊密な相談が容易になること、開示請求書を当該地方支分部局に提出できるようになること、さらには請求拒否の決定の取消訴訟を当該地方の裁判所に提起することができるようになることなどの利点が生まれ、開示請求に関する事前事後の手続全般について、当該地方に在住する者の便宜に資するところが大である。各行政機関における権限の委任が、このような点に十分に配慮したものとなることが望まれる。」と指摘されていたところです。したがって、施行令では、単に行政機関の長は地方支分部局に委任することができると定めるのではなく、地方支分部局が保有する行政文書に関しては、原則として地方支分部局の長に委任するものとすることを定める必要があります。
第 3 行政文書の管理 (案五) について
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行政文書の作成 (案五 2) について
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行政文書の作成について、骨子案は、「当該行政機関の意思決定に当たっては文書 (図画及び電磁的記録を含む。) を作成して行うこと並びに当該行政機関の事務及び事業の実績について文書を作成することを原則とする」と定めており、行政文書の作成義務を定めている点は評価できます。
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しかし、単に文書の作成を義務付けるだけでは十分ではありません。法第 1 条が定める「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされる」ように「意思決定」の過程や事務又は事業の実績ができる限り明らかとなる程度の文書の作成を義務付けるべきです。
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行政文書の保存 (案五 3 (3) (5) (6)、別表第二) について
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骨子案は、各行政機関が定める行政文書の保存期間を別表第二の期間以上の期間とするよう定めています。
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「考え方」2 (3)において、「情報公開法と行政文書の管理は車の両輪である」と指摘されたとおり、情報公開法に基づく開示は、行政文書が保存されていることを前提とするものであり、行政文書はできる限り長期間保存され、又、管理、廃棄、移管の状況が記録された帳簿で文書のライフサイクルが明らかにされなければなりません。
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別表第二の 5 年、3 年、1 年の保存期間は、「車の両輪」という観点からすると短すぎるのではないかと思われます。保存期間は、5 年を 7 年に、3 年を 5 年に、1 年を 3 年に、それぞれ変更すべきです。
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特に、別表第ニの三 ト「取得した文書の管理を行うための帳簿又は行政文書の廃棄若しくは移管の状況が記録された帳簿 (第三の五の 4 の (2) の記録を含む。)」は、文書のライフサイクルを明らかにするものであり、開示請求者の行政文書の所在を知るうえで極めて重要なものです。
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したがって、この帳簿については、保存期間を 10 年とすべきです。
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また、別表第二の四 ハ「調査又は研究の結果が記録されたもの」、ホ「職員の勤務の状況が記録されたもの」については、保存期間 3 年は短すぎます。これは少なくとも、保存期間を 5 年とすべきです。
第 4 行政文書の廃棄 (案五 4) について
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国立公文書館等の機関への移管
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歴史的資料等として移管する基準や決定方法について規定する必要があります。
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保存期間満了後も廃棄又は移管されずに現に管理されている文書について
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骨子案五 4 (1) に関連して、保存期間が満了した日が経過した後においても、廃棄又は移管されずに現に管理されている文書については、すべて開示請求の対象となることを注意的に明記すべきです。
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情報公開条例では、そのような運用がなされていることもありますが、逆に開示請求文書が存在しているにもかかわらず、保存期間満了済み文書とし、解釈上「文書不存在」として開示請求を却下する事例もあり、問題となっています。そのような混乱を避けるため、上記の通り注記すべきです。