
1999.07.15
1999 年 7 月 15 日
社団法人 自由人権協会
代表理事 内田剛弘
同 金城清子
同 江橋崇
同 更田義彦
同 秋山幹男
答申案は、日本における人権課題の要因として、人々の因習的な意識・社会的風潮・性別役割分担意識などを強調し、「国民相互間に課題が残されている」という現状認識に立っている。人権教育の必要性を説くにあたって「意識」の問題は避けて通れないが、答申案は、差別や人権侵害が法律を含む公的システムの中にもあるとの視点が極めて弱い。
当協会は、1988 年以来、国連の自由権規約人権委員会に代表を派遣し、日本政府報告書審議を傍聴し NGO としての独立レポートを提出している。昨年行われた第 4 回日本政府報告書審議においても、委員会から出された最終見解では、日本の入国管理制度・在監者の人権・死刑制度・女性や子どもの人権・独立した人権委員会の必要性など、多岐にわたる課題が指摘されている。これらの指摘のうちには、現在の日本における人権状況を考える上で重要なコメントとして傾聴すべきものがあるにもかかわらず、答申案ではほとんど重きを置かれていない。
答申案は人権教育において法務省が連携すべき相手として (財) 人権教育啓発推進センター、公益法人、特定非営利活動法人を例示する。しかし、日本社会では人権侵害が生じたときは、被害者が声をあげ、それを支援する人々が周辺に集まり、制度・法律の改正を政府・自治体に求めることで権利回復をはかってきたという歴史的事実があり、最前線で活動している人権 NGO は法人格を持っていないことが多い。またこのような人権 NGO の活動が市民によって活発に担われること自体が、人権教育・啓発であるという認識を持つべきである。
最後に、答申案が 6 月 18 日に発表され、パブリックコメントの締め切りが 7 月 16 日であることは期間が短すぎる。人権 NGO の多くはボランティアの集まりであり、会員の意見を集約するには相当の時間を要することを考慮すべきである。