
1998.12.18
東京地方裁判所 刑事第 14 部 殿
東京地方検察庁 検事正 殿
警視庁 警視総監 殿
捜査当局は、12 月 6 日、安田好弘弁護士を「強制執行妨害」の容疑で逮捕し、同弁護士は、現在まで引き続き勾留されている。
一般に、倒産等の危機に瀕した債務者にアドバイスを与えることは弁護士にとって通常の業務である。したがって、構成要件がきわめて曖昧な「強制執行妨害」罪を捜査当局が恣意的に拡大解釈し、これをみだりに適用することは弁護士業務に対する不当な介入となる。
国連の「弁護士の役割に関する基本原則」に明記されているとおり、弁護士の身体の安全は確保されなければならず、専門家としての職務として行った行為について起訴されるようなことがあってはならない。
これらの観点からすれば、弁護士に対する捜査は慎重になされなければならない。しかも、本件では、安田弁護士は任意の事情聴取に協力してきたのであるから、逃亡や罪証隠滅の恐れなどは全く考えられず、弁護士に対する強制捜査に踏み切るだけの根拠があったとは到底考えられない。現に、同種の別件で告発された別の弁護士は逮捕もされていないのである。
このような状況を考えると、今回の逮捕は、麻原裁判の主任弁護人として被告人の権利保護のために尽力し、また死刑廃止を求める活動に精力的に取り組んできた安田弁護士に対する報復としてなされたのではないかとの疑いを禁じ得ない。そのような事態が、「弁護士の役割に関する基本原則」に反することは明らかである。
したがって、当協会は、安田弁護士の逮捕及び勾留に強く抗議し、同弁護士を直ちに釈放するよう求めるものである。
1998 年 12 月 18 日
社団法人 自由人権協会
代表理事 山田卓生
同 内田剛弘
同 金城清子