
1997 年 4 月 10 日
1997 年 4 月 10 日
社団法人自由人権協会
このたびの電力会社女子社員殺害事件についての報道は、被害者とその家族に対する重大な人権侵害として看過できない。
マスメディアによる報道において、被害者の名誉・プライバシーが十分配慮されなければならないことは言うまでもないことである。さらに、被害者が公人ではなく、しかも犯罪により死亡したような場合には、一言の反論・弁明すら不可能な一市民という意味においても、節度を持った報道が強く要求されるところである。
今回の報道は、いたずらに被害者女性の過去を暴き、興味本位にプライバシー侵害を繰り広げているもので、およそ右のような節度を欠いているものと言わざるを得ない。また、今回の事件報道の姿勢が、学歴や職歴の優れていた女性を徹底的にバッシングするという性質を帯びていることも指摘せざるを得ない。
最近、過去の事例の判例の反省のうえにたって、報道各社が報道倫理の向上に関心を持ち、放送局が自主的に番組の質の向上のための実践的活動を強化していることなどから、私たちとして強い期待を抱いていた。しかるに、今回の報道はこの期待が裏切られる結果となってしまった。私たちは、報道機関の記者や番組制作者が個人として、悩み、努力されていることを十分承知しているが、その反面で、従来と同様な手法でこのような人権侵害的報道を繰り広げられることは、遺憾である。
報道各社は、ただちに被害者の名誉やプライバシーを侵害するような報道を差し控え、取材・報道のあり方の反省のうえにたって、報道の使命の遂行を強く求めるものである。