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最終更新日: 2004.12.27


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国連改革の提言 人権委員会改組にも言及

アナン国連事務総長の任命により発足した有識者諮 問委員会は国連改革のための提言「より安全な世界:私たちに共通の責任(A more secure world: Ourshared responsibility)」を国連総会に送付した。提言は「国際紛争」「国内紛争」「核・科学・生物 兵器」「テロリズム」「国際組織犯罪」「貧困」の6つのテーマについて述べている。「テロリズム」の項目 では、人権と法の支配を尊重しつつテロリズムと闘う戦略を立て、各国が国内で取り組む道筋を作らなけれ ばならないとした上で、正当化し得ない「テロリズム」の独自の定義を提言している。

提言は人権委員会の改革にも言及している。現在の 同委員会の最も深刻な問題は構成国への指名を巡る国家間の争いであり、多くの国は世界の人権を実現する 為でなく、自国への批判から自己保身する為に委員の 席を欲していると指摘している。しかし委員会の参加資格を厳格化することについては「問題を一層政治的 にする恐れがある」として否定、「全ての国連加盟国に参加資格を開く」ことを提言している。同委員会の 参加資格について長年取り組んでいる国際人権NGOのHuman Rights Watchは、提言全体は評価しつつも、この結論については批判的で、「現在全加盟国が参加 する唯一の機関である国連総会は人権擁護に関しては有効に機能していない」として、改めて資格の厳格化 を求めた。

(提言:http://www.un.org/secureworld/)

タイ政府が保安法の検討を開始

12月初頭タイのタクシン首相は保安法の立法を目 指し、アメリカやシンガポール、マレーシアなど類似の法律を参考に、法案の検討を行っていることを明ら かにした。警察に対し、裁判所の許可を経ずに勾留を延長する権限を与えるものになるという。同国では南 部を中心にイスラム系住民と警察との衝突が続発しており、今回の検討はこの対策を念頭に置いたものとみ られる。タクシン首相の提案は閣僚間でも合意を見ておらず、先行きは不透明だが、人権団体は「現状の法 制度下でも既に治安部隊が囚人に対し大規模な虐待を行っている。保安法はそれを悪化させるだけだ」と批 判を強めている。

(参考:アジア人権委員会リリース12/1及び海外の報道)

カリフォルニアで容疑者のDNAを採取する新法成立

11月2日、カリフォルニア州で容疑者のDNAを強 制的に採取し、犯罪者DNAデータベースを構築する新法を制定する「69号提案」が有権者の62%の賛同 を得て成立した。新法は「カリフォルニアDNA指紋・未解決事件及び無罪保護法」と名付けられ、容疑者 はもとより、個人情報詐称やドメスティック・バイオレンスの被害者、活動家も採取の対象となる。既 に刑期を終えた重罪犯もDNAの提出を義務づけられる。また無罪・不起訴となった容疑者はそのDNAを 廃棄するよう裁判所に申し立てできるが、一律に廃棄しなければならない義務は課されていない。これ に対しアメリカ自由人権協会カリフォルニア支部では、個人情報詐称の被害者や反戦運動で逮捕され、無 罪釈放された若者らと共に同法の差し止めを求める団体訴訟を12月7日にサンフランシスコ連邦地方裁 で起こした。

(参考:ACLUリリース12/7 Hotwired Japan 11/27)

ダルフールの虐殺に安保理が三度目の勧告

スーダンのダルフールで続く民兵による虐殺や破壊 などの大規模な人権侵害に対し、国連安全保障理事会は11月19日にスーダン政府が支援する民兵の武装解 除を同政府に求める勧告を採択した。7月・9月に続いて三度目の勧告となる。安保理は7日から国際調査 委員会を現地に派遣、実態調査を行っていた。

国際人権団体はこれまで責任者の訴追やスーダン政 府への武器禁輸措置、良心の囚人の釈放などを要求するよう安保理に求めていたが、採択されなかった。

ダルフールではスーダン政府の支援を受けた民兵が 反政府勢力の取り締まりを口実に虐殺や強かんを行い、村を破壊し、結果大量の難民が発生している。

(参考:UNHCHRリリース、各紙報道)

国連人身売買特別報告官任命

国連人権委員会は人身売買に関する同委員会特別報 告官としてバングラデシュのSigma Huda弁護士を任命した。Huda氏は報告官として人身売買の被害に関 する情報を収集し、被害者の権利擁護のための施策を同委員会に勧告する事のほか、個別の事案に対して対 応する任務を担う。任期は2007年まで。Huda氏はバングラデシュ女性法律家協会の創立者であり、現代表 でもある。これまでバングラデシュやインドで女性の人身売買や性的搾取に対する活動を長年続けてきた。

(UNHCHRリリース 11/1)

ビジネスと人権に関するICJ提言

11月3日国際法律家協会(ICJ)はビジネスと人権に 関する提言を国連人権高等弁務官に提出した。提言は、人権保護促進小委員会が昨年採択した「人権に関 する多国籍企業およびその他の企業の責任に関する規 範」を支持し、企業が責を負うべき人権侵害が多発する中、企業の人権遵守義務を定めた具体的な国際基準 を国連が中心となって策定するべき、としている。その上で提言は小委員会の規範で使われている(企業が 責任を負う)『影響の範囲内』や『共謀』などの用語や治外法権など手続き上の問題を明確にすることが必要 と結論づけている。

提言の全文はICJのウェブサイトで入手可能。

タイでデモ隊鎮圧、84名が死亡

10月25日タイ南部のナラティワート県でタイ政府 の治安部隊がデモ隊を鎮圧し、少なくとも84人が死亡した。イスラム系住民からなる数千名のデモ隊は武 器を盗んだとして逮捕された6名の釈放を求めて警察署前に集まり、治安部隊が催涙ガスでこれを鎮圧、6 名の市民が死亡した。更に78名がトラックに詰め込まれ移送されている間に催涙ガスと窒息のため亡く なったとされる。逮捕者は1300名に上った。タイ当局はデモ隊が暴動に発展したため鎮圧したとされる が、これを否定する証言も挙がっている。同県では今年前半にやはり同じ容疑で5名が逮捕され、拷問に あっている。この5名の弁護士は拉致されたが、これに関わったとされる警察官は全て罪に問われなかっ た。

(アジア人権委員会10/26声明・朝日新聞10/26報道)

ネパール破壊活動防止令
一年間の予防拘禁が可能に

10月13日ネパール政府はテロリスト・破壊活動防 止令(TADO)を改定し、司法手続きを経ずに郡知事が一年間予防拘禁を命ずることができるようにした。従来 同令では90日間の予防拘禁が可能だったが、実際にはそれを超える長期間の拘禁が裁 判所の審査もなく行われ、多数の市民が罪状も明らかにされないまま捕ら えられてきた。現在も治安部隊が関与したとみられる失踪が相次いでおり、同国の人権 委員会によると、未解決の失踪は1000名に上るとされている。今回の改 定はこうした治安部隊による弾圧を更に増加させるものとして、人権団体が抗議している。

(ICJ10/21リリース Human Rights Watch(HRW)10/26リリース)

マレーシア前副首相に無罪判決

9月1日マレーシア最高裁判所は、アンワル=イブ ラヒム前副首相に対して収賄と同性愛の罪で計15年の禁固を言い渡した高裁の判決を覆し、無罪とした。

マレーシアはマハティール首相の下で強圧的な政治 を行っており、アンワル氏は自身がそのようなマハティール首相の政策に批判的であったために逮捕され たと主張していた。逮捕時も逮捕に抗議するデモが全面禁止となった。

裁判には国際法律家委員会(ICJ)など国際人権団体 や法律家が傍聴し、法の支配が維持されるか監視活動が行われていた。

(参考:ICJ9/2リリース・アジア人権委員会9/3声明)

合衆国裁判所が愛国者法に違憲判決

9月29日アメリカ合衆国裁判所はブッシュ政権が 9.11を受けて制定した愛国者法の調査権限拡大に関する条項が違憲であるとの判決を下した。ACLUが今 年初頭に無効を訴えて提訴していた。

違憲とされたのは、政府機関が無制限にインター ネット接続業者の顧客記録の閲覧を要求できるとした条項で、修正第一条の表現の自由と修正第四条の不合 理な捜索を受けない権利を侵害しているとされた。また判決は法律が広範な言論統制 機能を有しており、言論の自由と相容れないとも述べている。

アメリカ議会は現在愛国者法を更に拡大する法案を 検討しているが、こうした動きにも影響すると見られる。ACLUは拡大の動きに対し、アメリカ保守連合 (American Conservative Union)やイスラム自由市場研究所(Islamic Free Market Institute)と共に「愛国者法を愛国主義と混同するな」とのコピーを打 ち出した広告キャンペーンを展開し、国会議員に慎重な検討を求める一方、自由の擁護は左右のイデ オロギーに関係なく重要なことと市民に訴えている。

(ACLU9/29リリース)

住民基本台帳大量閲覧制度の実態調査を

住基台帳の「住所・氏名・性別・生年月日」の4情 報の大量閲覧制度ですが、各地でどのような実態になっているか調べてみませんか?

この住民情報の大量閲覧制度が、ダイレクトメール の情報源になっており、最近では架空請求の情報源になっているといわれています。個人情報の保護がこれだけ問題になっている中、情報公開クリアリングハ ウスとコンピュータ合理化研究会では、大量閲覧の実態がほとんど把握されていない状況であることか ら、実際にどのように大量閲覧制度が運用され、どのくらい実際に閲覧されているのか、 調べてみたいと考えています。

調査に協力していただける方、詳しく知りたいと いう方、ぜひご連絡ください。詳細をお知らせします。連絡先は情報公開クリアリングハウス(03-5269- 1846 icj@clearing-house.org)です。

BOOKS

ヨーロッパ人権裁判所CD-ROM

同裁判所のこれまでの判決のほか、欧州評議会の 決議、かつての欧州人権委員会の決議・報告を含むCD-ROM。年三回の更新版を購読できる。価格は150 ユーロ/230ドル。申込みは同裁判所出版部まで。http://www.echr.coe.int/hudoccd に詳細情報あり。

Human Rights Watch,Aceh at War:Torture, Ill-Treatment, and Unfair Trials,September 2004,56頁

インドネシア軍による分離独立運動の弾圧が続く アチェにおける拷問の実態を調査した報告書。35名の囚人への聞き取り調査を行い、電気ショック・煙 草の押しつけ・殴打・脅迫の様子を明らかにしている。http://hrw.org/reports/2004/indonesia  0904/で全文を閲覧できる。

インドが死刑執行を再開

8月14日、インド政府は1995年以来続いていたモ ラトリアムを破り、Dhananjoy Chatterjee氏に対する死刑を執行した。Chatterjee氏は1990年に少女を 強かん・殺害したとして1991年に死刑判決を受け、13年間独房に拘禁されていた。 Chatterjee氏は一貫して無罪を主張、二度にわたり上告するも却下されてい た。刑務所前では前夜から数百人が徹夜の抗議集会を行った。 多くの人権団体に加え、各国での死刑廃止を推進するEUも18日にモラトリアムを 復活させるようインド政府に求める声明を発表した。

(参考:アジア人権委員会8/13声明 Hands Off Cain報道)

イギリス控訴院が拷問による証拠収集を容認

8月11日イギリス控訴院は、他国で拷問によって得 られた証言を証拠として採用する事を容認する判決を下した。裁判は9.11を受けて制定された2001年反テ ロリズム法(ATCSA)により拘禁されている外国籍の被告に対するもので、イギリスの 機関が拷問を直接行ったか黙認した場合にのみ、拷問による証拠は容認され ないとした。イギリスは拷問禁止条約に批准しているが、控訴院は条約に準ずる法律 を議会が制定していないとして、条約を考慮しなかった。

(参考:アムネスティ8/11リリース・ICJ8/13リリース)

人種差別撤廃委員会が締約国訪問制度を検討

国連人種差別撤廃委員会は8月2日から20日まで ジュネーブで第65会期を開催、反人種主義世界会議の宣言と行動計画フォローアップのための政府間作業 部会からの草案を検討した。草案は、深刻な条約違反の通報を同委員会が受け付け、締約国 を訪問調査する制度を、人種差別撤廃条約の選択議定書として実現す るよう提案している。他に、インターネットでの人種差別扇動や人権教育を、再検討を要する テーマとして挙げている。これを受けて委員会は作業部会に対し、 人権教育に関する新条約の必要性について検討するよう要請した。

また今回の会期で委員会は一般的勧告30「非市民 に対する差別」を採択し、非市民(non-citizens)に対する差別政策を是正するよう締約国に勧告した。

(参考:UNHCHR8/4,8/16リリース)

人権小委員会第56会期

国連人権小委員会の第56会期が7月26日〜8月13 日にジュネーブにて開催された。冒頭では世界各地の人権状況について小委員会で議論するべきかどう かが検討された。上位にあたる人権委員会は小委員会が特定の国家に関する決議を行う事を 規制しており、NGOからは先進国に対する批判が困難になった と批判されている。8月4日にはJCLUとして東澤靖理事が出席、旧日本軍による性的奴隷制の被害者救 済を日本の司法は怠っていると訴えた。この問題については日本や諸外国から多数 のNGOが訴えたほか、日本のNGOは在日朝鮮人に対する日本政府の差別や 劣化ウラン弾問題なども提起した。

議論された主な課題は以下の通り。職業と出自に よる差別/天然資源に対する先住民族の恒久主権/飲料水に対する権利/帰還した難民の居住権/多国 籍企業と人権/反テロリズムと人権/遺伝子研究による人権への影響

健康に関する国連特別報告官が
アメリカ・ペルー間貿易協定に懸念

7月5日、国連の「達成可能な最高基準の身体的及 び精神的健康の享受に対する全ての人々の権利に関する人権委員会特別報告官」であるポール=ハント氏 は、アメリカ政府とペルー政府が締結を進めている両国間の自由貿易協定の医薬品特許 規定に対し、ペルー国内での医薬品の価格を高騰させるとして懸念する声 明を発表した。ペルーではこれまで医薬品特許が認められていなかった。今回の協定に より特許制度が導入されれば特許薬以外の販売は禁止・制限され、例えば HIV/エイズ用の薬は10倍に市場価格が上昇すると見られる。同報告官は世界貿易機構(WTO) のTRIPS協定やドーハ合意でその国の公衆衛生を守る権利は定めら れているとして、協定締結の過程を透明化し、必須医薬品へのアクセスなど公衆衛生の観点か ら協定の影響を評価するよう両政府に求める一方、アメリカ政府に 対しては、ペルー政府の人権遵守義務を脅かすいかなる圧力もかけてはならないと勧告した。

現在WTOを補完する形でアメリカ・日本などが活発 にFTA締結を各国に働きかけており、この過程で特に第三世界諸国の医療に対するアクセスや食糧に対する 権利、労働団結権などが脅かされているとして、国際機関や様々なNGOが批判し ている。

(UNHCHR7/5リリース・国境なき医師団5/28ニュース)

ICJ Yearbook 2004

国際法律家委員会(ICJ)は2004年度版の"ICJ Yearbook"を発行した。スワジランド・ネパール・チュニジア各調査団の報告や、トルコ・マレーシアでの法 廷監視団の報告、国際人権法の国内適用の方法や強制的失踪条約への取り組みなどに関する記事などが掲載 されている。注文はIntersentia (www. intersentia. com)まで。

国連人権諸条約の報告書制度の見直しが進む

国連人権諸条約に基づく報告書制度の見直しと強化 に関する議論が条約委員会の間で続けられている。6月21-22日にはジュネーブで第三回委員会間会合が開 かれた。現在は条約毎に締約国政府が提出している報告書を、中核となる一本の報告書と個別の報告書にま とめるガイドライン案が検討された。ガイドライン案は条約同士の内容の重複を指摘した上で、中核となる 報告書の構成を1)当該国の人権に関する統計などの背景情報 2)人権擁護の為の一般的枠組 3)条約毎の内容の重複を排除した一本の合同条文を新たに作成し、 それに基づいた報告、の三本とする事を提案している。会合ではガイドラインについて引き続き検討する ことで合意した。また事前質問票(list of issues)の機能や総括所見のフォローアップ手続、報告書の遅 滞・非提出への対策、条約留保、報告過程における国内人権機関の役割なども議論された。

また同時期に16回目となる条約委員会の議長会合 も開かれ、子どもの権利小委員会と女性差別撤廃委員会が検討している、委員会をそれぞれ二つのグループ に分けて同時並行で審議をこなす案などを議論した。

2002年9月にアナン事務総長がアジェンダ「国連 の強化」を発表して以来本格化したこれらの改革の動きは、報告の作業を省力化したい各国政府と、改革が 人権システムの縮小に繋がらないよう警戒するNGOの間で活発な駆け引きを呼んでいる。(参考:UNHCHRの ウェブサイトhttp://www.ohchr.orgの特設コーナー・6月25日付リリース)

タイ首相の企業が人権活動家を名誉毀損で告訴

タイのタクシン首相の一族が経営する通信会社、シ ン・コーポレーションが、タイのNGOである大衆メディア改革キャンペーンの事務局長Supinya Klangnarong氏を名誉毀損で告訴、バンコクの刑事裁判所は6月22日から審判を開始した。Supinya氏は 昨年新聞で「タクシン氏が首相になってからシン・コーポレーションの利益は急騰した」と発言してお り、同企業はこれを名誉毀損として訴えた。

これに対し、Supinya氏やNGOは表現の自由を侵害 するものとして非難している。(参考:Asian Human Rights Commission 6月23日付リリース)

イラク兵士虐待 アメリカ軍の慣行

アメリカ軍とイギリス軍がイラク戦争でイラク兵捕 虜を虐待・拷問していた問題を受け、国際人権団体は今回の事件は例外的では全くなく、むしろアメリカ軍 のなかで慣行となっていたことを示す文書を次々と明らかにしている。

5月13日付けプレスリリースでHuman Rights Watchはアフガニスタン駐留アメリカ軍での3件のアフガニスタン捕虜死亡事件を報告した。2002年には2 名の捕虜が死亡し、司法解剖により殺人と診断されたが、アメリカ軍はその原因を明らかにしていない。更 に2003年には1名が亡くなっている。同団体はこれらアフガニスタンでのアメリカ軍の捕虜の扱いに関す る報告書“Enduring Freedom:”Abuses by U.S. Forces in Afghanistanを3月に出版した。

Amnesty Internationalは既に以前からイラクでのアメリカ軍による殴打や電気ショック、睡眠剥奪な どの虐待の申し立てを受けていると明らかにした。またアフガニスタンでの事例についても報告している。

国際人権団体は今回の事件に関し独立機関による調 査を要求する一方、5月19日からバグダッドで行われている軍法会議の傍聴をアメリカ軍に求めたが、認め られていない。

改善されないネパールの人権状況

ネパールでは政府と毛派の対立が続き、多くの人権 活動家の容疑無き勾留や強制的失踪が相次いでいる。ここ一年前後にわたり国際社会が仲裁を試みてきた が、事態はいまだ改善されていない。

4月21日にはネパール弁護士会が平和的なデモを 行い政府のデモ禁止令に抗議したが、参加した数百人の弁護士が逮捕された模様。逮捕者は家族や弁護人と の接見を認められていない。

4月に開催された国連人権委員会では、各国が見守 るなかネパール政府は自国民の権利を尊重する声明に署名したが、その直後にも活動家が拘束されている。 5月7日には市民社会からの辞任要求にタパ首相が応じた。

ネパール国内人権委員会は国連人権高等弁務官事務 所(OHCHR)に対し専門家の派遣を要請しているが、そ の実施に必要となるネパール政府とOHCHR間の合意文書の署名をネパール政府が渋っており、実現でき ていない。 (参考:5/4 ICJ リリース)

人権小委員会第60会期

3月15日から4月23日まで国連人権委員会は第60 会期会合をジュネーブで開催した。主な内容は以下の通り。

▼メキシコ政府の提案により「反テロリズムと人 権」に関する独立専門家を一年の任期で任命することを決定、反テロリズム政策は国際人権基準を満たさな ければならないと決議した。監視機関の設置にはアメリカ・オーストラリア・中国などが抵抗した。▼ペルー の外務大臣がフジモリ元大統領によるかつての弾圧を非難、国際司法裁判所で公正な裁判を行うべきと主 張。日本政府は反論権を行使し「二国間で協議中」とした。▼免責特権に関する独立専門家の任命を事務総 長に勧告した。(L.110)▼昨年に引き続きブラジル政府が提案した性的指向と人権に関する決議は議論を来年 に持ち越された。▼社会権規約選択議定書作業部会の任務は2年間延長された。▼人権擁護推進小委員会に よる企業の人権遵守義務に関する基準案を受け、人権高等弁務官にこの問題に関する研究を行うよう求め た。

ベトナムで先住民族の大規模弾圧か

キリスト教のイースター祭にあたる4月10・11日、 ベトナムのブォンマトゥオット市でキリスト教を信仰する先住民族が数千人規模の抗議行動を行い、信教の 自由と先住地の返還を求めた。これを現地の警察は武力で鎮圧し、多数の逮捕者や怪我人の他、死者も出た と見られる。欧米の報道機関が「数百人が殺された」 と報じ、国際人権団体が非難声明を出す一方、ベトナム政府は「報道は誤りで、平和的デモではなく、在米 ベトナム人に扇動された、武装した暴動であった」と説明している。多くの行方不明者が出ているとされて いるが、報道が規制されている模様で詳細は不明。

(Human Rights Watch 4/26 リリースなど)

ボスニア・ヘルツェゴビナ裁判官・検察官募集

新国家を建設中のボスニア・ヘルツェゴビナで新し く裁判所・検察局を設置するにあたり、裁判官・検察官を募集している。同国の再建を規定したデイトン和 平協定実施の民生部門最高責任者である国連安保理上 級代表が国際法律家委員会(ICJ)に適当な人材の推薦 を求めたもので、裁判官は組織犯罪・金融犯罪・汚職に関する法廷、検察官は検察局特別部への配属と なる。上級代表はICJにあてた手紙で「国際的な裁判官と検察官の参加は、ボスニア・ヘルツェゴビナ における重大な金融犯罪や汚職と闘う上で不可欠であり、経済と正義の発展に寄与する」としている。ま た戦争犯罪法廷も近々設置され、そちらでも国際的な能力を持った裁判官・検察官を求めている。

募集要項など関心のある方はJCLU事務局までお問 い合わせ下さい。

新国連人権高等弁務官任命

2月20日国連アナン事務総長はカナダ最高裁判所裁 判官のルイズ=アーバー(Louise Arbour)氏を国連人権高等弁務官(UNHCHR)として任命した。国連総会の認可 を経て正式に就任する。アーバー氏はカナダ自由人権協会の元副代表であり、1996年からルワンダおよび旧 ユーゴ国際法廷の主任検察官として活躍、ミロシェビッチ元大統領を人道に対する罪で起訴した。1999年 からは最高裁裁判官を務めていた。UNHCHRは昨年8月にセルジオ=デ=メロ氏がバグダッドの国連本部で殺 害された後空席になっていた。

オランダ、難民申請者を大量国外退去処分

2月17日、オランダ下院は難民認定を申請している 外国人のうち、2万6千人を国外が依拠させる法案を可決した。退去に応じない外国人は強制収容される。対 象者には10年近くオランダに住んでいる人も多い。過去に例のない処分に人権団体からは、強制送還により 故国で危険な目にあうなどの猛烈な批判が出ている。

ヨーロッパでは難民の増加や不況により、難民条約 の改定など難民を制限する議論が活発化している。

(参考:新聞報道、Human Rights Watch 2/13公開書簡)

ネパール:頻発する弁護士・活動家の失踪

政府と毛派の対立が続くネパールで、人権活動家や 弁護士の容疑無き拘束が頻発している。1月29日にはカトマンズの弁護士Laxman Prasar Ayral氏が私服の治安部隊に連行され、陸軍兵舎に監禁されている。同 じくカトマンズの弁護士であるJeetaman Basnet氏は2月4日に陸軍のユニフォームを着た男たちに拘束さ れ、2月19日の時点で所在は不明である。両者とも容疑は明らかにされておらず、弁護も提供されていない。 2月21日にはBal Krishana Devkota氏がやはり治安部隊により自宅で逮捕された。同日にはDhananjaya Khanal氏も陸軍により逮捕された。この2名の所在も明らかにされていないが、ともにネパールの治安法違 反の被告を弁護しており、逮捕との関連が疑われている。

11月18日にはネパール国内人権委員会が国連人権 委員会の拷問問題特別調査官などの訪問調査を要請する一方、ネパール政府と毛派双方に人権協定の締結を 呼びかけた。在カトマンズの欧米諸国大使館は同日、 人権状況の悪化を懸念し、同委員会が提案する人権協 定を締結するよう求める共同声明を発表した。

ICJの裁判官と法律家の独立センター(CIJL)は2月 19日、加盟団体に対し、弁護士を直ちに保釈するか法の下で裁き、人権侵害事件を調査し裁くことをネパー ル政府に要請し、またそれぞれの政府に対し同事件に関する仲裁をネパール政府と行うよう要請する行動を 呼びかけた。

(ICJ11/24・2/19リリース)

マサチューセッツ高裁が同性結婚を認可

2月6日アメリカのマサチューセッツ高等裁判所は 州が同性間の結婚を完全に合法化するべきだとする判決を下した。昨年11月には同州最高裁が「同性婚の 否定は州憲法に違反するため、180日以内に州議会に対し法改正を求める」との判決を出していた。これを 受けて州議会は法律婚を同性カップルに認めるかわりに、それに準じた新制度を採択していた。今回の判決 はそれを不充分としたもの。また12日にはサンフランシスコ市が同性カップルに始めて結婚証明書を発行 した。

同性間結婚に対し、ブッシュ大統領は否定的な反応 をとっており、これを禁じる憲法改正を検討すると発言している。

(参考:Human Rights Watch 2/6リリース)

オーストラリアが国連人権委員会議長に

1月19日、国連人権委員会は3月から行われる第60 会期の議長としてオーストラリア大使のMichael Smithを選出した。

近年オーストラリア政府は難民の受け入れの制限と 処遇の改悪を進めており、欧米で進む難民条約改悪の動きに大きな影響を与えている。また、他の先進国と ともに条約監視制度などの国連人権システムの縮小を提案している。同システムの中心となる人権委員会の 議長国となったオーストラリア政府がシステムの改革をどのように進めるつもりなのか、NGOによる監視が 求められる。

(参考:国連・Human Rights Watch 1/19リリース)

インド最高裁「強かん事件には女性裁判官を」

インド最高裁は女性裁判官が強かん事件を扱う特別 裁判所をデリーに新設した。強かんという深刻な基本的人権の侵害に裁判所がより慎重に対処するための措 置とされている。裁判所ではその他の性暴力事件や持参金関連の犯罪も扱う。

デリーは性犯罪が深刻化しており、一昨年は300件 の強かん事件が起訴された。起訴されても充分な審理を経ずに無罪となることも少なくないとされている。

(参考: Feminist Daily News Wire 1/5

http://www.feminist.org/

BBC News 12/19)

アムネスティ:北朝鮮の食糧難に関する報告書

1月20日アムネスティ・インターナショナルは朝鮮 民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)における食糧に対する権利に関する報告書を発表した。同報告書ではア ムネスティは北朝鮮政府の食糧供給が不平等であり、人々に移動の制限を課しているため、食糧に対する権 利が著しく侵害されているとして、北朝鮮政府に改善を求めている。

北朝鮮では95年頃から続いた水害とソ連・東欧の社 会主義政権との経済交流の終了による燃料不足が大規模な食糧難を引き起こし、数百万人が餓死したと言わ れている。世界食糧基金(WFP)や各国政府・NGOによる大規模で長期的な人道支援が続けられている。

アムネスティの報告書では北朝鮮政府のみならず各 国政府も食糧に対する権利を保障しなければならない として、「食糧は、決して政治的、経済的圧力の道具と して使われてはならない。食糧制裁などというものは、あってはならない。」と訴えている。

ICJ会議「人権と反テロリズム」会議資料公開

昨年10月末にICJが開催した会議”Human Rights and Counter-Terrorism: International Monitoring Systems”で配布された資料が公開された。ICJのウェブサイト(http://www.icj.org)の”Recent ICJ Documents”から入手できる。


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