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JCLU外国人の権利小委員会 人種差別撤廃法要綱試案(Ver.2)

発表にあたって要綱試案


発表にあたって

当小委員会の人種差別撤廃法要綱試案Ver.1発表後、多くのご意見が寄せられ、また外国でも報道されるなどの反響があり、日本における人種差別の問題に対する関心の高さと立法の必要性を改めて感じました。特に日本に居住する外国人の方をはじめ、差別の対象となる方々から貴重なご意見をいただきました。

これらの意見をふまえてさらに内部で検討を重ねた結果、要綱試案Ver.1の一部を修正するとともに、罰則を含む救済措置についての考え方を追加しました。 具体的な救済手続については、政府が国会に再提出する予定の人権擁護法案に基づく人権委員会が主体となってこれを行うことを予定しており、同法案の救済手続規定を前提としています。(なお、同法案における人権委員会は独立性に疑問があり、私たちは、真に独立性ある機関としての位置づけを求めていきます)。

人種差別撤廃法に関する当小委員会内部の検討は、これで一応終了しました。これを受けて自由人権協会で正式な提案をまとめるための検討を開始します。Ver.2の発表にあたり、協会会員より、人種差別を撤廃するための実効性を確保する手段として他の差別事案たとえば男女差別や障害者差別に先立ち特に人種差別事案において刑事罰を設ける必要性、刑罰の対象となる行為の構成要件の明確性、及び表現の自由の保障の観点から人種差別表現行為を強制力を伴う特別調査や勧告等の特別救済手続の対象に含めることなどについて疑問が提起されています。協会では今後これらの点を中心に議論していくことになります。

この要綱試案をたたき台のひとつとして、協会内外で広く議論が交わされ、人種差別撤廃法の制定の気運が高まることを願っております。

2004年8月3日

社団法人自由人権協会
外国人の権利小委員会
羽柴 駿(弁護士)
旗手 明(労働問題研究者)
藤本俊明(神奈川大学講師)
藤本美枝(弁護士)

要綱試案

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Ver.1発表にあたって

日本でもようやく1996年に人種差別撤廃条約が発効しました。政府は、「我が国の現状が、既存の法制度では差別行為を効果的に抑制することができず、かつ、立法以外の措置によってもそれを行うことができないほど明白な人種差別行為が行われている状況にあるとは認識しておらず、人種差別撤廃法等の立法措置が必要であるとは考えていない。」(人種差別撤廃委員会の日本政府報告審査に関する最終見解に対する日本政府の意見)との立場をとっています。

しかし、現実には、日本に暮らす外国人が年々増え続けるなかで、労働、住居、サービスの提供など様々な分野で、外国人に対する差別を含む人種差別が根強く存在しています。浜松宝石店外国人排斥訴訟や小樽温泉人種差別訴訟で、人種差別撤廃条約を根拠として、差別を行った事業者に対する損害賠償請求が認められましたが、このような事案は氷山の一角であり、条約及び裁判所における救済だけでは、差別解消のために不十分であることは明らかです。本当に差別をなくしていくためには、何が許されない差別なのか、ルールを具体化・明確化するとともに、差別撤廃に向けての国や地方自治体の責務を明らかにし、併せて救済措置を充実させる必要があります。

外国人差別に代表されるように、憲法と裁判所を中心とする従来の人権保障の枠組みでは、現実に起きている人権侵害を十分に救済できていないことから、新しい枠組みを求める声が高まっています。現在、国内人権機関の設立に関する議論が先行していますが、そのような機関によって適用されるべき実体法についての議論は、まだほとんどなされていないのが実情です。

当小委員会では、実効性ある新しい人権保障の枠組みの一環として、人種差別を撤廃するための実体法の制定を目指して、後記メンバーを中心に要綱案作成に取り組んできました。日本には、部落差別をはじめ人種以外の根拠に基づく深刻な差別が存在していますが、それぞれの差別に特有の側面があるため、同一の法律ですべてをカバーすることは必ずしも適切ではないと考えられます。そこで、当小委員会がこれまで取り組んできた外国人の差別問題に焦点を当て、外国人差別を含む人種差別に関する特別法として作成することにしました。

なお、この人種差別撤廃法の実施機関としては、真に独立性ある国内人権機関が設立されることを前提に、当面、この機関によることを想定しています。また、本来は、具体的な救済手続についても併せて検討・提案すべきところですが、まずは実体法について提案を行い議論のたたき台として供することにし、手続については次の検討課題とすることにしました。

さらに、この人種差別撤廃法が制定された場合は、生活保護法の国籍条項の撤廃や、公務就労権実現のための措置が必要であり、さらに救済措置の定め方により、人種差別撤廃条約第4条(a)及び(b)の留保を撤回すべき場合があると考えています。

この要綱案は議論のたたき台として作成したものですので、よりよい要綱案に向けて、ぜひ皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

2003年3月15日

社団法人自由人権協会
外国人の権利小委員会
羽柴 駿(弁護士)
旗手 明(労働問題研究者)
藤本俊明(神奈川大学講師)
藤本美枝(弁護士)




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