(緊急保護命令)
第11条 ドメスティック・バイオレンスの被害者及び検察官は、被害者の心身に重大な危険があるときには、書面または口頭で、緊急保護命令の申立を行うことができる。この場合、申立人は、司法警察職員の陳述により疎明を行うことができる。
(規則で24時間受付体制を規定)

2 前項の申立に対し、裁判所が相当な疎明がなされたと認める時は、申立時から24時間以内に、緊急保護命令を発令しなければならない。

3 緊急保護命令は、次の命令を内容とすることができる。

一 申立人並びにその指定する親族及び同居人に対して、ドメスティック・バイオレンスを行うこと及びドメスティック・バイオレンスを行うことを告げて威迫する行為の禁止
二 直接間接を問わず、申立人に対して、面会・電話その他の方法で接触しまたは連絡をとる行為の禁止
三 申立人並びにその指定する親族及び同居人の住居、就業場所、就学場所、その他申立人の指定する場所への立入り及び接近禁止
四 親権の暫定的停止
五 その他申立人並びにその指定する親族及び同居人に対して、その生命身体の安全または生活維持のために必要と認められる措置
4 裁判所は、司法警察職員に緊急保護命令決定書謄本を被申立人に交付させることにより、その送達を行うことができる。
5 緊急保護命令の申立の取下、緊急保護命令の変更または解除については、前条(保護命令)の規定を準用する。
1. 緊急保護命令は、被害者の心身に重大な危険があると認められる場合に認められる。申立は書面または口頭により、相当な疎明がなされたと認められる場合は申立から24時間以内に発令されなければならない。ドメスティック・バイオレンスは、深夜に被害が発生し、また、被害者を早急に保護する必要が高いことが少なくないため、裁判所による24時間受付体制が要求され、裁判所規則での対応が必要となる。また、通常の保全処分と異なり、書面での疎明が困難な場合も少なくなく、被害現場に駆けつけた警察官の陳述をもって疎明ができるものとしている。
尚、わが国の裁判所、裁判官の数で、緊急性を要する保護命令を出せるかという疑問もあるが、裁判所では既に24時間対応可能な令状当番裁判官が常駐しているのであり、かかる裁判官に緊急保護命令の担当を委嘱することで、対応可能ではないかと思われる。更に、緊急保護命令は、暫定的被害者救済との位置付けから、原則として加害者の不作為のみを対象としているので、濫用の虞は少ない。

2. 緊急保護命令は、あくまで被害者保護のための緊急措置であるから、加害者の不作為を命じるものが原則とされる。緊急保護命令違反のうち一定の不作為命令違反は、犯罪とされる(本法案16条)ことにより、その実効性が確保される。手続的にも、命令決定書謄本は、司法警察官が相手方に交付することにより送達され、警察官の面前で命令違反があると現行犯逮捕がされるという抑止力がかかることにより、事実上強力な執行力を有することになる。
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