(警察のとるべき措置)
第6条 ドメスティック・バイオレンスの通報をうけた司法警察職員は、直ちに現場に臨場し、次の各号の措置その他ドメスティック・バイオレンスの再発を防止するための合理的措置を採らなくてはならない。
一 暴力の制止および犯罪の捜査
二 被害者を防止センター、民間保護施設等安全な場所に送り届けること。ただし、被害者が防止センター等保護施設への入居を望まないときは、右施設の連絡先等の情報を提供すること
三 緊急の治療が必要な被害者を医療機関へ搬送すること
四 被害者が保護命令を申立てるにつき、必要な援助を行うこと
五 暴力が再発するおそれがあると認めるとき、検察官に対し本法第10条に定める保護命令の申立てを請求すること
六 保護命令の執行に立ち会うこと
七 保護命令に違反した者、又は違反したと信じる相当な理由がある者を逮捕すること。 2 検察官は、前項五号の請求をうけたときは、申立てに理由がないことが明らかでない限り、保護命令の申立てをしなければならない。
1. 個人の生命、身体の安全を保護することは警察の責務であるが、従来、警察は民事不介入を理由にDV被害者の生命、身体の安全を保護する措置をることに消極的であった。1999年12月に警察庁次長通達として「女性と子どもを守る施策」が出される等、警察官の姿勢に変化の兆しはみられるものの、本条はDV事件を担当する警察官が躊躇なくDV被害者保護とDV再発防止のために適切な措置をとりうる根拠規定である。
本条本項はDV被害者を保護し、DVの再発を防止するために警察がなすべき合理的措置を例示した。
(1) 暴力制止は現場に駆けつけた警察官の第一の任務である。また、DVは犯罪であるから、現場に駆けつけた警察官は犯罪捜査を行わなければならない。
(2) DV被害者の安全確保の為に、被害者を保護施設に送り届ける必要がある。しかし、直ちに家を出て保護施設に入居することは望まない被害者もいる。その場合には、防止センター等保護施設の連絡先を知らせることにした。
(3) DVの被害者は打撲、骨折など負傷していることが多い。そこで、緊急の治療が必要な被害者を医療機関に搬送することも警察官の職務と明記した。
(4) 被害者が保護命令や緊急保護命令を申し立てる際に、警察官がなすべき必要な援助とは、申立書を用意すること、記入方法を指導すること、家庭裁判所への申立てを代行すること、緊急保護命令が申立てられた際、管轄裁判所で必要な陳述をすること(11条1項)等がある。
(5) 被害者は、報復を恐れる等々の理由で、保護命令を申立てるのを躊躇することも多い。そこで、警察官は、保護命令の申立権者である検察官に対し保護命令の申し立てを請求できるとした。
(6) 警察官は、保護命令の円滑な執行のため、被害者から請求があった時は、第10条1項三号、五号、六号、十号及び第11条3項五号の執行に立ち会わなければならない。
(7) 本項は一定の要件の下で無令状逮捕を認めるものである。警察官が無令状逮捕できる者は、保護命令に違反した者と、違反したと信じる相当な理由のある者に限定される。違反したと信じる相当な理由があるかどうかは、具体的事案に現れたすべての事情を考慮して総合的に判断される。
2. 保護命令の申立権者である検察官は、警察官から保護命令、緊急保護命令の申立てを請求されたときは、原則として申立て義務があることを明記し、1項5号の警察官の行為を実効性あるものとした。

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