「国会の保有する情報の公開に関する法律案」の解説                    2001年10月1日                    社団法人自由人権協会   1 はじめに  国会は国権の最高機関であり唯一の立法機関であり、国政が、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する、という人類普遍の原理に基づくことは論を待たない。このため、国会の情報を広く国民に開示し、国会の透明性を確保することは、国民主権の理念にのっとった必要不可欠の要素である。  ところが、行政機関の情報公開法はすでに制定され、司法に関する情報公開についても、司法制度改革審議会において検討がなされているにもかかわらず、三権の中核をなす国会の情報公開については、未だ国政レベルの検討課題にいたっていない。長年、国の情報公開制度の立法運動に取り組んできた自由人権協会では、行政、司法に引き続き、国会に関する情報公開法案を、ここに策定する。 2 法案作成にあたっての方針  本法案は、早期制定可能な法案を作成するという方針の下で策定した。したがって、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」)の条文で、国会の情報公開法に踏襲できるものは、なるべく同じ内容の規定を置いた。 3 対象機関、対象情報の特定  対象機関は、衆議院・参議院・国立国会図書館・裁判官弾劾裁判所・裁判官訴追委員会、その他法律の規定に基づき国会に置かれる機関及び国会の所轄の下に置かれる機関である。  対象情報は、国会活動にかかわるすべての情報である。(2条2)  規定は、おおよそ情報公開法をふまえた法形式となったが、審議会に関する規定などは情報公開法の趣旨に最高機関としての国会の特殊性を考慮し、議員が委員になることを排除することで、審議会が政党の影響を受けず、自由に調査権を行使し、国民の福利に即した答申となることを期待した。(24条)  また、国会は合議体であることを重視し会議の公開の推進(3条、4条)を規定した。  なお、情報公開法の趣旨をそのまま流用できない規定については、文言を工夫して準用し、不服審査については、行政機関を対象とした行政不服審査法を適用することとした。 4 特に、情報公開訴訟手続に関する今後の課題について  国権の最高機関である国会の開示決定等の取消しを求める訴訟等(以下「取消し訴訟等」)の手続に関しては、判断者の任用制度等から現行法の適用のみでは、実質的に原告の訴えに即した判断が容易に行われるとはいいがたい。そこで、今後の課題として早急に権力の公平な行使を補完するために、参審及び陪審制の法制化を検討したい。 ***************************************            国会の保有する情報の公開に関する法律案             (JCLU国会情報公開法案)                         2001年10月1日                         社団法人自由人権協会    目次  前文  第一章 総則(第一条・第二条)  第二章 会議の公開並びに国会情報の公表及び提供(第三条・第四条)  第三章 情報開示制度(第五条−第二十条)  第四章 不服申立について(第二十一条−第三十八条)  第五章 補則(第三十九条−第四十三条)  日本国民が国会と情報を共有し国会が国民により広く情報を公開する制度を整備することは、公正で民主的な国政の基礎であり、同時に、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めるためにも不可欠の要素である。 国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会の本会議はもとより、常任委員会等各種委員会及び国会を構成する全構成員はすべからく国民の知る権利の対象であることに鑑み、ここに国会の保有する情報の公開に関する法律を制定するものとする。 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、国民主権の理念にのっとり、知る権利に基づく国会情報の開示を請求する権利につき定めること等により国民の代表機関として国会の使命を全うし国会の総合的な情報の一層の公開を図り、もって国会が行うその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な国会の活動の推進に努めるものとする。 (定義) 第二条 この法律において「実施機関」とは、次に掲げる機関をいう。     一 衆議院     二 参議院     三 国立国会図書館     四 裁判官弾劾裁判所     五 裁判官訴追委員会     六 一から五までに掲げるもののほか、法律の規定に基づき国会に置かれる       機関及び国会の所轄の下に置かれる機関   2 この法律において「情報」とは国会の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該国会の職員が組織的に用いるものとして、当該国会が保有しているものをいう。ただし、官報、公報、白書、新聞、雑誌、書籍、委員会等の会議録、その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの及び国立国会図書館、憲政記念館、国立公文書館その他の機関において通常の方法により閲覧及び写しの交付ができるものは除く。 第二章 会議の公開並びに国会の情報の公表及び提供 (会議の公開の推進) 第三条 実施機関は、憲法五七条一項本文にのっとり、各議院の委員会及び及び憲法調査会並びに参議院の調査会(以下「委員会等」という。)のほか、会議について広く、国民への公開に努めるものとする。 (国会情報の公表及び総合的な情報提供の推進) 第四条 国会は、委員会等の会議録、議員の調査活動に係る報告書等について、憲法及び法に定めのある場合を除く全ての情報の公表に努めなければならない。   2 国会は、広報誌、若しくは電気通信設備又は電気通信回線に接続している電子計算機の利用等による多様な媒体を積極的に活用し、情報提供の推進に努めるものとする。 第三章 情報開示制度 (開示請求権)  第五条 情報の開示を請求しようとするもの(以下「開示請求者」という)は何人もこの法律の定めるところにより、実施機関の長に対し、情報の開示を請求することができる。 (情報開示制度に係る規定の解釈及び運用) 第六条 国会はこの法律の規定の解釈及び運用に当たっては、開示請求者の権利を十分に尊重し、当該実施機関の長は第八条各号に掲げる非開示情報が記録されているものを除き、すべて情報は開示するよう努めるものとする。 (開示請求の手続き) 第七条 開示請求は、実施機関の長に対して、次の事項を記載した請求書(以下「開示請求書」という。)を提出しなければならない。    一 氏名又は名称及び住所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに法人その他の団体にあってはその代表者の氏名    二 開示請求に係る情報を特定するために必要な事項   2 実施機関の長は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、開示請求者に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、実施機関の長は、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない (情報の開示義務) 第八条 実施機関の長は、第五条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)があったときは、開示請求に係る情報に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「非開示情報」という。)が記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該情報を開示しなければならない。    一 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の生命・身体その他の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。     イ 法令及び条例(以下「法令等」という。)の規定により又は慣行とし公にされ、又は公にすることが予定されている情報     ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報     ハ 当該個人が公務員又はこれに準ずる公的地位にある者である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該公務員又はこれに準ずる公的地位にある者の職の名称その他職務上の地位を表わす名称及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分    二 法人(国及び地方公共団体を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。     イ 事業活動によって生じ、又は生じるおそれのある危害から人の生命又は健康を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報     ロ 違法若しくは不当な事業活動によって生じ、又は生じるおそれがある支障から人の生活又は健康を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報    三 公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの    四 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に著しく支障をおよぼすおそれがあるもの    五 国の機関及び地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に著しい混乱を生じさせるおそれがあるもの、又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの。    六 国の機関及び地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの     イ 監査,調査,検査、喚問又は試験に関わる事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ     ロ 契約、交渉又は争訟に関わる事務に関し、国又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を著しく害するおそれ     ハ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ  (情報の一部開示) 第九条 実施機関の長は、開示請求に係る情報の一部に非開示情報が記録されている場合において、非開示情報に係る部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該非開示情報に係る部分以外の部分を開示しなければならない。   2 開示請求に係る情報に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。 (公益上の理由による裁量的開示) 第十条 実施機関の長は、開示請求に係る情報に非開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該情報を開示することができる。 (情報の存否に関する情報) 第十一条 開示請求に対し、当該開示請求に係る情報が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関の長は、当該情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。 (開示請求に対する措置) 第十二条 実施機関の長は、開示請求に係る情報の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨及び開示の実施に関し政令で定める事項を書面により通知しなければならない。    2 実施機関の長は、開示請求に係る情報の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る情報を保有していないときを含む。)は、開示しない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。 (開示決定等の期限) 第十三条 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から三十日以内にしなければならない。ただし、第七条第二項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は当該期間に算入しない。    2 前項の規定に関わらず、実施機関の長は、事務処理上の困難その他正当かつ明白な理由があるときは,同項に規定する期間を三十日以内に限り延長することができる。この場合において、実施機関の長は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。 (理由付記等) 第十四条 実施機関の長は、第九条第一項又は第二項の規定により開示請求に係る情報の全部又は一部を開示しないときは、開示請求者に対し、同条第一項又は第二項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。この場合において、当該理由の提示は、開示しないこととする根拠規定及び当該規定書面の記載自体から容易に理解され得るものでなければならない。    2 実施機関の長は、前項の場合において、開示請求に係る情報が、当該情報の全部又は一部を開示しない旨の決定の日から一年以内にその全部又は一部を開示することができるようになることが明らかであるときは、その旨を開示請求者に通知するものとする。 (事案の移送) 第十五条 実施機関の長は、開示請求に係る情報が当該他の実施機関より作成されたものであるときその他他の実施機関の長において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の実施機関の長と協議の上、当該他の実施機関の長に対し、事案を移送することができる。この場合においては、移送をした実施機関の長は、開示請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。    2 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた実施機関の長において、当該開示請求についての開示決定等をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関の長が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関の長がしたものとみなす。    3 前項の場合において,移送を受けた他の実施機関の長が第十二条一項の決定(以下「開示決定」という)をしたときは、当該実施機関の長は、開示の実施をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関の長は,当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。 (第三者に対する意見書提出の機会の付与等) 第十六条 開示請求に係る情報に国、地方公共団体及び開示請求者以外の者(以下この条、第二十一条及第二十二条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、実施機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る情報の表示その他規則で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。   2 実施機関の長は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る情報の表示その他規則で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。     一 第三者に関する情報が記録されている情報を開示しようとする場合であって、当該情報が第八条第一号のロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。     二 第三者に関する情報を第十条の規定により開示しようとするとき。   3 実施機関の長は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該情報の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、実施機関の長は、開示決定後直ちに当該意見書(第二十一条及び第二十二条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。 (開示の実施) 第十七条 情報の開示は、文書、図画又は写真については閲覧又は写しの交付により、フィルムについては視聴又は写しの交付(マイクロフィルムに限る。)により、電磁的記録については視聴、閲覧又は写しの交付等(ビデオテープ及び録音テープにあっては視聴に限る。)でその種別、情報化の進展状況等を勘案して実施機関の長が定める方法により行う。ただし、視聴又は閲覧の方法等による情報の開示にあっては、実施機関の長は、当該情報の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるとき、その他正当かつ明白な理由があるときは、当該情報の写しその他当該情報に適する方法により、これを行うことができる。    2 開示決定に基づき情報の開示を受ける者は、規則で定めるところにより,当該開示決定をした実施機関の長に対し、その求める開示の実施の方法その他の規則で定める事項を申し出なければならない。    3 前項の規定による申出は、第九条第一項に規定する通知があった日から三十日以内にしなければならない。ただし、当該期間内に当該申出をすることができないことにつき正当な理由があるときは、この限りではない。    4 開示決定に基づき情報の開示を受けた者は,最初に開示を受けた日から三十日以内に限り、実施機関の長に対し、更に開示を受ける旨を申し出ることができる。この場合においては、前項のただし書きの規定を準用する。 (他の法令による開示の実施との調整) 第十八条 実施機関の長は、他の法令の規定により、何人にも開示請求に係る情報が前条第一項に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合(開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る)には,同項本文の規定にかかわらず、当該情報については、当該同一の方法による開示は行わない。ただし、当該他の法令の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りではない。    2 他の法令の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を前条第一項本文の閲覧とみなして、前項の規定を適用する。 (開示手数料) 第十九条 情報の開示を受ける者は、規則で定めるところにより、開示に関わる情報の実費の範囲内において規則で定める額の開示の実施に係る手数料を納めなければならない。    2 実施機関の長は、情報の開示を受ける者からの申し出により、その者に経済的困難、公益上の理由、その他特別の理由があると認めるときは、規則の定めるところにより、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。    3 実施機関の長は、実施機関が開示決定に係る情報を不特定多数の者が知り得る方法で実施機関が公にすることを予定し、又は公にするべきであると判断するときは、第一項の手数料を減額し、又は免除することができる。 (権限又は事務の委任) 第二十条 実施機関の長は、両議院の議長が協議して定める規程で定めるところにより、この章に定める権限または事務を当該実施機関の職員に委任することができる。 第四章 不服申立て等 第一節   (諮問等) 第二十一条 開示決定等につき、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てがあったときは、当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき実施機関の長は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、国会情報審議会に諮問しなければならない。     一 不服申立てが不適法であり、却下する場合     二 裁決又は決定で、不服申立てに係る開示決定等(開示請求に係る情報の全部を開示する旨の決定を除く。)を取り消し又は変更し、当該不服申立てに係る情報の全部を開示することとするとき。ただし、当該開示決定等につて反対意見書が提出されているときを除く。  (諮問をした旨の通知) 第二十二条 前条の規定により諮問をした実施機関の長は、次に掲げる者に対し、諮問した旨を通知しなければならない。     一 不服申立人及び参加人     二 開示請求者(開示請求者が不服申立人又は参加人である場合を除く。)     三 当該不服申立てに係る開示決定等について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が不服申立人又は参加人である場合を除く。) (第三者からの不服申立てを棄却する場合等における手続) 第二十三条 第十六条第三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する裁決又は決定をする場合について準用する。     一 開示決定に対する第三者からの不服申立てを却下し、又は棄却する裁決又は決定      二 不服申立てに係る開示決定等を変更し、当該開示決定等に係る情報を開示する旨の裁決又は決定(第三者である参加人が当該情報の開示に反対の意思を表示している場合に限る。) 第二節 情報公開審議会 (設置・委員) 第二十四条 第二十一条の規定による諮問に応じ不服申立てについて、調査審議するため、国会に、情報公開審議会(以下「審議会」という)を置く。    2 審議会は、委員九人をもって組織する。    3 委員は、非常勤とする。ただし、そのうち三人以内は、常勤とすることができる。 (委員) 第二十五条 委員は、優れた識見を有する者の内から両議院の同意に基づき、両議院の議長が任命する。    2 委員の任期は三年とし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、三期を超えない範囲で再任を妨げないものとする。    3 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。    4 両議院の議長は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは両議院の同意を得て、当該委員を罷免することができる。    5 委員は職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。    6 委員は、在任中、政党その他の政治的団体に所属し、又は積極的に政治活動をしてはならない。    7 常勤の委員は、在任中、両議院の長の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。    8 委員の給与は、別に法律で定める。 (会長) 第二十六条 審議会に、会長を置き、委員の互選によりこれを定める。    2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。    3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。 (合議体) 第二十七条  審議会は委員の全員を以って構成する合議体で、不服申立てに係る事件について調査審議する。    2 前項の規定にかかわらず、審議会が定める場合においては、その指名する委員三人をもって構成する会議体で、不服申立てに係る事件について調査審議する。 (事務局) 第二十八条 審議会の事務を処理させるため、審議会に専用の事務局を置く。    2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。    3 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。 第三節 審議会の調査審議の手続き (審議会の調査権限) 第二十九条 審議会は、必要があると認めるときは、実施機関の長に対し、開示決定等に係る情報の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審議会に対し、その提示された情報の開示を求めることができない。    2 審議会は、必要があると認めるときは、実施機関の長に対し、開示決定等に係る情報の内容を審議会の指定する方法により分類又は整理した資料を作成し、審議会に提出するよう求めることができる。    3 実施機関の長は、審議会から前二項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。    4 第一項及び第二項に定めるもののほか、審議会は、不服申立てに係る事件に関し、不服申立人、参加人又は実施機関の長(以下「不服申立人等」という)に意見書又は情報の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させ又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。 (意見の陳述) 第三十条 審議会は、不服申立人等から申立てがあったときは、当該不服申立人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審議会が、その必要がないと認めるときは、この限りではない。    2 前項本文の場合においては、不服申立人又は参加人は、審議会の許可を得て、補佐人と共に出頭することができる。       (意見書の提出)  第三十一条 不服申立人等は、審議会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、審議会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。 (相手方への通知) 第三十二条 審議会は、不服申立人等から意見書又は情報が提出された場合にはその相手方に対し、提出された旨の通知をしなければならない (提出資料の閲覧) 第三十三条 不服申立人等は、審議会に対し、審議会に提出された意見書または情報の閲覧を求めることができる。この場合において、審議会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。    2 審議会は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。 (調査審議手続きの非公開) 第三十四条 審議会の行う調査審議の手続きは、公開しない。 (不服申立ての制限) 第三十五条 この節の規定により審議会がした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。 (答申書の送付等) 第三十六条 審議会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを不服申立人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとする。 (その他調査審議手続き) 第三十七条 この節に定めるもののほか、審議会の調査審議の手続きに関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める規定によって定める。 第四節 訴訟に関する特例 (訴訟の管轄の特例等) 第三十八条 開示決定等の取消しを求める訴訟及び開示決定等に係る不服申立てに対する裁決又は決定の取消しを求める訴訟(本節において[情報公開訴訟]という。)については、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第十ニ条に定める裁判所のほか、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも提起することができる。    2 前項の規定により特定管轄裁判所に訴えが提起された場合であって、他の裁判所に同一又は同種若しくは類似の情報に係る情報公開訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所または所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部または一部について、当該他の裁判所又は行政事件訴訟法第十二条に定める裁判所に移送することができる。 第五章 補則 (文書検索目録等の作成等) 第三十九条 実施機関の長はこの法律の適正かつ円滑な運用に資するため、情報を適正に管理するものとする。    2 実施機関の長は、規則で定めるところにより情報の管理に関する定めを設けるとともに、これを一般の閲覧に供しなければならない。    3 前項の規則においては、情報の分類、作成、保存及び廃棄に関する基準その他の情報の管理に関する必要な事項について定めるものとする。    4 実施機関の長は、一般に周知する目的をもって作成した刊行物等について、その目録を作成し、毎年公表するものとする。 (開示請求をしようとする者に対する情報の提供等) 第四十条 両議院の議長は、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求ができるよう、国会が保有する情報の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。 (実施状況の公表) 第四十一条 両議院の議長は、毎年、両議院にこの法律の施行の状況を報告し公表しなければならない。 (情報の提供に関する施策の充実) 第四十二条 両議院の議長は、国会の保有する情報の公開の総合的な推進を図るため、情報が適時に、かつ適切な方法で国民に明らかにされるよう、情報の提供に関する施策の充実に努めるものとする。    2 両議院の議長は、この法律の円滑な運用を確保するため、開示請求に関する総合的な案内所を整備するものとする。 (委任) 第四十三条  この法律の施行に関し必要な事項は、別に定める。 (罰則)  第四十四条 第二十五条第五項に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役または三十万以下の罰金に処する。 附則 1 国会は、この法律の施行後四年を目途として、この法律の施行の状況及び情報公開訴訟の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。